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某英会話学校ではレギュラー勤務のほかに、諸事情で講師が休んだり辞めたりしたときの穴を埋める役割で、あちこちの学校に臨時で出向くことが多々あります。なので教えたことがある述べの生徒さんの数は膨大だし、クラスのタイプも様々。
そんな中で体験したエピソードなどをちょこちょこと。最近は子供のクラス担当が多いのですが、子供を教えるのは本当に大変で、かつ本当に楽しいです。
【”子供騙し”成功!】
うふふ。
また「子供騙し」がうまく行った。
小1男子。社長令息で英才教育。幼児期から外人教師のプライベートクラスを取っていたけど、インターナショナルスクールに入学してから、「書く」練習や文法の勉強もさせたいと、日本人教師のプライベートクラスも追加され、とりあえず現時点では書く練習、と言っても作文ではなくアルファベットや単語をなぞり書きする程度。
だがもともと担当していた講師がやめてしまい、私が5月から引き継いだ。
アルファベットの練習をさせるんだけど、彼はすでにもうかなり書けるようになっているし、そもそもちんまり座ってオベンキョウするのなんか楽しくないお年頃。反抗期的にもなっていて、なかなか思うように言うことを聞いてくれない。きちんと書けるはずなのにわざと乱暴に書いたり、ダラダラしたり、別室でやはりプライベートクラスを受けている姉のところに行ってしまったり。
今日は来るなりロビーのソファで狸寝入り。時間になって、始めるよ、と言っても微動だにせず。くすぐってみても反応せず。
男性外人教師が担いで運ぶ。担がれてる時は嬉しそうだったが、教室ではまたグッタリやる気なし夫くんに。
外人講師たちによれば、気まぐれな彼は時々そうなって、全く何も出来ずに1時間過ぎたこともよくあったと言う。
*
けど、そんなこったろうと思っていたので、私にはちょっと作戦があった。
文字練習用の3線(サンシンではなく)の入ったノートを、3段階ぐらいに縮小コピーしたものを用意。
そして、
「ねえ、T夫、チャレンジしない?」
と持ちかける。
「チャレンジ?」
あくまで反抗的でそっぽ向いたままだけど、しめしめ反応したぞ。
「うん。ちっこい字書くチャレンジ」
小学1年生は結構大きな文字を練習するけど、小さい文字は難しいよね。小さい字、書ける?
「………」
「あ、書けないか。無理かなやっぱり。まだT夫にはできないな」
「………デキル……」
蚊の鳴くような声で。
しめしめ、引っかかってきたぞ。
「ほら、これ」
少し小さめに縮小した用紙を示して、私はスラスラとそこに書いて見せる。
「こんなふうには書けないよね、ごめん、まだ無理ね」
「……ヤル……」
「えー、やるのぉ?できる?」
まんまと術中にハマった彼はせっせと書き始める。
思った通り、実はかなり正確に書けるのである。でも今までここまできちんと書いてくれたことはない。
「えー、書けるじゃん、それもすごいキレイに! なんだー、T夫は書けないんだと思ってたよ」
で、さらに1段縮小したコピーを見せて、
「これは? これはさすがに無理か」
もちろん彼はチャレンジ、そして、マジでこちらが驚くほどそれもキレイに書けた(最初の数文字だけだけど)。
「えええ、書けるのー、すごーぃ!………もっと小さくしてみる?」
こちらが挑戦的に言ってみると、頷く彼。おお、マジか。
そのままオフィスに行ってさらに縮小してくる。彼は縮小コピーというものも知らなかったとみえて、その事自体にちょっと興味津々でもあった。
「えー、どうして小さくなるの?」
やっと不貞腐れた小声モードから脱却。
そしてかなり小さくした用紙にもちゃんと書けた!正直こちらもちょっとびっくり。
「すごいよ!○○、これ持って帰ってお母さんに見せたら驚くよ!」
おためごかしでなく私もマジでそう言えて嬉しい。
もちろん小さい字を書かせるのが主目的ではなく、「きちんと書く」ことをさせたかったんだけど、それはもう100パー達成された。
*
とはいえずっとそれをやり続けるのも飽きるだろうから、後半はまた別の、私が考案したゲーム仕立てのエクササイズをして(めんどくさいからその詳細は省くが)それにもそれなりに夢中で取り組んでくれたのであった。
初めはどうなる事かと思ったけど、結果的にほぼ私の思惑通り、いやそれ以上に首尾よく進んで、ついニヤケてしまうワタクシ。
ほんとに子供を教えるのは一筋縄ではいかない。
けど「作戦」が功を奏すると、つい内心笑いが止まらない。
ꉂ (˃̶᷄‧̫ॢ ˂̶᷅๑ ) プークス
しんどいけどオモロいわぁ。
まあこういう作戦もいつまでも効くわけじゃないからまた頭を捻らないとならないんだけどね。